普通に風邪かもしれないなと思える症状でも今の世の中、コロナじゃないの?と疑われる嫌な時代だなと感じるようになりました。
逆にくしゃみや咳払いなど、口に手を当ててやらなければならないなど、エチケットの点が向上したことはコロナのおかげと言っても過言ではありません。
ただ、あまりにも過剰に反応してしまうために、誰かが風邪の症状かもしれないと思うと遠ざかったり、早く家に帰らせようとしたりしていませんか?
コロナが出回る前であれば、「そんなの軽い風邪だから出勤しなさい」ってな感じで、少し辛そうであっても簡単に働かせていたのに、今となっては出勤させられなくなってきたのではないでしょうか。
いいような悪いような、少し違和感を感じてしまう状態になっているのではと思います。
コロナは人が見る視点や価値観を変えてしまったと思います。
風邪という症状に対して、「すぐに治る」、「大したことはない」という価値観が、「もしかしたらコロナかもしれない」、「風邪の症状と思って接していたらコロナがうつってしまう」という感じに変わってしまったのです。
ですから、自分で風邪かもしれないという症状であったとしても、今まででしたら「ちょっとしんどいかも」と言うことができていたのですが、ちょっとした一言で「コロナかもしれない」と思われることを恐れてしまう人が出ているかもしれません。
人の目を気にして生きてきた人は特にそうした視線を恐れるようになったのではないかと思います。
人の目を気にしていかなければならなくなった反面、簡単に仕事や学校を休める状態にもなったのかもしれません。
「風邪の症状があるかもしれません、念のために今日は休みます」と言ったら今までは「それぐらい大したことないから出てきなさい」とか思われて、その視線が怖くて休むことができなかった方も今は簡単になったかもしれません。
風邪の症状は実に気まぐれで、1日ですぐに治ることもあれば長い期間患うこともあります。
ですから風邪だと思ったときには本来家でゆっくり過ごすことが望まれるわけで、その当たり前な行動がとりやすくなったのではないかとも思っています。
今までの価値観であれば、軽い症状の風邪であれば間違いなく出勤であったものが、今はその価値観もがらりと変えてしまったと思います。
もし、コロナのワクチンが完成して、全国各地にそのワクチンが簡単に使用できるようになったらどうなるのでしょうか。
おそらくインフルエンザと同じような形で扱われるのではないかと思いますが、風邪の症状が出た時にはしばらくの間は敏感に「コロナかもしれない」という意識が残っているかもしれません。
スペイン風邪が大流行したのが1918年で、それから50年から100年もの間にワクチンもできていたことから、冬になってインフルエンザの流行時期になってもマスクを着用している人はごくわずかでした。
予防接種を行うことでインフルエンザに対する意識も大流行した時期からかなり薄れていたのだと思いますし、ウイルスに対する意識そのものも薄かったからだと思います。
今やどこを見てもマスク着用していることが当然のような世の中となり、価値観がすっかり変わってしまいました。
風邪の症状であったとしても出勤しなくても良い、という価値観は人間の考え方や働き方改革がもたらしたのではなく、コロナという外部圧力から作り上げられたのは何とも皮肉ではありますが、もしかしたら結果的には良い方向に向かったのかもしれません。
風邪と簡単に言っても怖い存在であることは確かです。